「知識は力なり」 はクラウドでも変わりなし

2017年12月21日投稿 by 伊吹山 正郁

アルベルト・アインシュタインはこう言いました。「どんな愚か者でも知ることはできる。肝心なのは、理解することだ。」

今日の消費者は、複数のタッチ ポイントを通じて知られる自分の好みにあわせた、パーソナライズされた体験を期待しています。データ保護の法令を順守しつつ、顧客が求めるものを提供しようと企業が奮闘する中で、魅力的な顧客体験を創造することは、データの科学に裏打ちされたある種の芸術といえます。

顧客データ量の増大により、データへのコンスタントなアクセスを可能とし、関連性や競争的を維持し続けるために、組織はクラウドへの移行を迫られています。クラウドへの移行は、自社組織がビジネス目標を達成する足掛かりになりますが、そこには落とし穴も数多く潜んでいます。多くの組織は「クラウド ファースト」のアプローチにとらわれ、先を急いで飛び込んでしまい、泳ぎ方を覚える前に沈みます。組織が持つデータの内容が明確でなければクラウド ジャーニーは悪い方向に迷走し、コンプライアンス上の問題や機密情報への不正アクセスなど、着手した時よりも多くの問題を抱えることとなります。慎重なアプローチを取り、行っている手順の理由を明らかにする必要があります。

クラウド上の情報を分析しデータの価値を引き出すためには4つの要素が必要になります。

自信

真の俊敏性を備えるために、クラウド上のデータに関する情報を得る必要があります。これは、種類、ソース、機能など、データに関する全面的な可視性を備えることから始まります。専門家以外にとっては、データの可視性とは、組織のデータを分析できるよう、データを明確にすることを意味します。データにノイズがあればあるほど可視性は低下します。

クラウドのメリットを享受するもう一つの方法は、とりわけ今日の複雑なマルチクラウド環境においては、そこに何があるかをまず知ることです。クラウド上のデータの種類と量が明確になれば、不要なコストをかけずにインフラ容量の計画とプロビジョニングを行う俊敏性が得られます。さらに、データの性質を把握することが、ビジネス ニーズに応じてサービスやアプリケーションの新境地を開拓し、クラウド上の情報によってもたらされる効率性や価値を増大させる上で役立ちます。

さらに、クラウド上にどのようなデータががあるかを把握することは、予期せぬ業務中断への備えを可能にします。データの使用停止に直面した時、効果的かつ効率的に適切な措置を講じることができ、何かの問題が突然発生しても自信を持って対処できるようになります。これは、クラウドからワークロードを取り戻す場合、あるいはクラウドから別のクラウドにワークロードを移す場合(ワークロードの完全な可搬性)でも、データが存在する場所によらず、明確な洞察によって、自信を持つ迅速な行動が可能になります。

コンプライアンス

ワークロードをクラウドに移行しても、データに関しては引き続き企業に責任があります。

データ管理に関する規制やコンプライアンスの法律が増加しているだけでなく、データ プライバシーに関する法令が確実に実施されるよう各国政府の厳しさが増しています。クラウド上にどのようなデータがあるかを理解することで、機密情報や違法な情報の盗難リスクを低減できます。同様に、意図した範囲を超えてデータを保持することは、組織に潜在的なリスクをもたらします。大半の国が厳格なデータ プライバシーや主権に関する法令を整備する中で、データの概要を包括的に把握することは、コンプライアンス上、法律上、規制上の要求事項の観点からも重要といえます。また、クラウドへの移行による、さらなる利点として、いつでも、どこからでも、迅速に、情報にアクセスできるようになります。

あらゆるデータを完全かつ統合的に把握し、コンプライアンスを強化してください。

保護

サイバー脅威が進化し多様化している現在、データの保護はビジネス戦略の中心に置かれるべき存在です。それには、セキュリティや災害復旧など、職務横断的な協力体制が必要となります。脅威に対する最高の防御とは、組織にふりかかるリスクを理解し、それに応じた計画を立てることです。

最初のステップは常に、データを理解することから始まります。何を保護しているのかを知らなければ、身を守ることなどできないからです。クラウド上にどのような機密情報があるかを調べてください。クラウド上のデータの価値を知ることは、より適切なサイバーセキュリティ戦略を策定する上で役立ちます。また、組織をサイバー攻撃に対して脆弱にしている不要なデータを排除することで、リスクを削減できます。

次のステップは、災害復旧計画の策定です。サイバー攻撃の際はどのようにしてデータを復旧させるのか。スナップショット ベースの保護で十分か。保護データのコピーが、復旧のために別の場所に確実に保管されていることをどのようにして確認するのか。そうした問いかけをしてみることから始めましょう。災害復旧計画を成功させる鍵は、それらをテストすることです。

クラウド上に何があるかを把握しましょう。その情報があれば、たとえシステム停止が発生したとしても、迅速な災害復旧が可能になります。

競争力

マカフィーの調査によると、昨年のハイブリッド クラウドの導入は前年と比べて、調査対象企業の 19% から 57% へと 3倍に成長しました。企業はクラウドへの移行を増やし、データ管理戦略を推進しています。

クラウド サービス プロバイダー (CSP) は、定期的に新機能をリリースし、顧客サービスの強化に努めています。そうしたサービスの増加は、より適切な管理が必要であることを意味しますが、しばしばマルチクラウドのアプローチが最善のソリューションになります。

しかしその環境で優位性を得るには、組織の俊敏性が決め手となります。 CSP と約束を交わす前に、ベンダー ロックインがないことを確認しましょう。そうすれば、あらゆるサービスや、最も重要なものとしては複数のクラウド上にあるデータを管理する柔軟性が得られます。

クラウド上にどのようなデータがあるかを把握し、自社組織が有する資産の価値を引き出すことで、他社との差別化を図ることができます。

フォレスターは、アジア太平洋地域において、クラウドがソフトウェア支出の 18%、アウトソーシング支出の9%になると予測しています。今日のビジネス戦略において、クラウドへの移行は必須のステップとなりましたが、 CIO は自社が業界の最前線にい続けるためにクラウドをどう活用すべきかを再評価することから始める必要があります。まずはクラウド上にある自社のデータを把握し、それら資産の価値に気付くところから最初の一歩を踏み出してください。

知識は力なり。その力があれば、ビジネスを成功に導くことができます。