クラウドにおけるデータ管理:俊敏性の追求

2018年3月16日投稿 by 伊吹山 正郁

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは変化する者である。」というチャールズ・ダーウィンの名言は、誰もが聞いたことがあるでしょう。

これはIT インフラにも当てはまります。IT インフラは、オンプレミスの仮想化や物理システムから、クラウドや SaaS (Software as a Service) へと進化を遂げてきました。

一方で、変わらないものもあります。例えば、データが莫大に増えつづけている事実です。このデジタル時代に、データ量は依然として増加し続けていますが、データが企業に与える重要性と価値に目を向けると、ますます戦略的なビジネス資産となっています。

それでは、決して変化しないものがあることを心にとめながら、変化に適応するにはどうしたらいいでしょうか。 

俊敏」になる

これは、どういうことでしょう?データの俊敏性とは、データを素早く簡単に、移動、そして利用できることです。俊敏性は、「Fail Fast, Fail Often」の実現と大きく関連しています。

デジタル時代のデータは俊敏でなければなりません。データは今やどこにでもあり、それにアクセスする誰もがいつでも利用できます。

データと情報は、それらが存在するインフラに依存しなくなりつつあります。そして、「Pets vs Cattle」、つまり「ペットとしてのサーバーから、家畜としての仮想マシン (VM) へ」移行しつつあることが認識されています。

「ペット」対「家畜」というこの考えは新しいものではありません。IT 部門は伝統的にサーバーを「ペット」として扱い、病気になった時には治療して治そうとしてきました。病気とはつまり、データ損失、セキュリティ攻撃、システム障害などの影響を被ることです。

歴史的にこれは大変筋が通ったことでした。サーバーは、プロプライエタリな (そして一般的には高価な) 物理リソースです。また、重要なデータ資産の主要な格納場所でもあります。だからこそ、サーバーを「ペット」として大切に扱ってきたのです。

仮想化とクラウドの登場により、インフラへの依存状況は一変しました。サーバーは、仮想マシン、あるいはコンテナとなり、今では「家畜」のような扱いを受けています。サーバーを迅速に供給することが容易になったため、たいていは治療により健康を取り戻すより、入れ替えてしまいます。

こうした新たな環境においても、データ管理 (そして保護) が大変重要であることは変わっていませんが、考え方は根本的に異なります。

保持、コピーデータ管理、監査 / リスクといった事柄は、アーキテクチャに変化があっただけでは、なくなりません。 VM という新しいアーキテクチャにシフトした世界には、認識されていない新たなニーズが数多くあります。新しいパブリック クラウド上のオブジェクトストレージレポジトリなど、従来と異なるストレージ サイロに置かれたデータを保護する必要があります。そういった保護要件は、データの使用方法によってさらに複雑になります。企業は、データを復元するだけでなく、データへのプログラムからのアクセスを可能にするなど要望を拡大しており、さらに、複雑な保護やデータ管理ルールが適用されなければなりません。

また、サーバーレスなアーキテクチャで提供されるデータや、データとの関係性からインフラが完全に取り除かれた SaaS で提供されるデータがあります。これにより、分散化されたデータサイロを管理し可視性を備えることはますます困難になります。

知ることがすべて

俊敏なインフラの俊敏なアプリにより、前にもまして俊敏なデータが増加している世界では、(マルチ) クラウドにある自分のデータを知ることがかつてないほど重要になります。

クラウド内のデータが俊敏であることを知っていれば、「失敗」も「回復」も素早くできます。これは、インテリジェントなソフトウェア定義型の、非常にスケーラブルなデータ プラットフォームを含むデータ管理戦略を採用することで初めて実現します。このプラットフォームは、以下の 3 つの要素が組み合わさっています。 

  • ダイナミックな分散型インデックス:インフラやクラウドの種類にかかわらず、あらゆる場所のデータについて、同時にあらゆることを把握できます。
  • 単一のバーチャル レポジトリ:物理的に移動する必要がなく、すべてのデータをひとまとめにすることで、「断片化したデータセンター」のサイロにまたがってあらゆる情報にアクセスでき、連携が取れた即時検索が実現します。
  • 管理と運用:複数の環境にまたがるデータの量と種類の急増に対応するための自動化、オーケストレーション、プロビジョニングを提供します。

これにより、クラウド間のシームレスな移行が要求される、先進の分散ワークロードにまつわる課題に対応できます。また、真のワークロードポータビリティと、ハードウェア ベンダーとクラウド プロバイダー両方におけるロックインの解消を実現することで、ハイブリッドなマルチクラウド環境におけるデータ管理の新たな機会をもたらします。

最終的に、単一のデータ プラットフォームにおいては、データと情報を迅速かつ容易に移行させること、自分のデータをしっかり把握し理解すること、素早く何度も「失敗」すること、しかも素早く回復することが可能になります。これこそが俊敏性の本質であり、決して変化しないものを維持しつつ、変化に対応し続けることができるようになります。

テクノロジーが向かっている方向を変更することはできませんが、企業がクラウドのデータを把握し、理解する方法を変えることはできます。そのためには、俊敏になることです。