第7回 今更訊けないCommvaultのDASH Full (合成フルバックアップ)

第7回となる今回は、「今更訊けないDASH Full」 と題して、Commvaultの合成フルバックアップ機能であるDASH Fullの概要や必要性、簡単な例でDASH Fullの実行方法や動作のご説明を行います。

DASH FullはCommvaultの重複排除機能を使って合成フルバックアップを行う機能で、既に多くのお客様が実際にご活用されています。DASH Fullを使うことで、フルバックアップ時に発生するネットワークへの負荷の削減やバックアップ ウィンドウの大幅な短縮などのメリットが得られます。今回は、これからCommvaultを使われる方、検討される方を主な対象として、DASH Fullをご紹介していきます。

(1) DASH Fullの概要と必要性

冒頭でご紹介した通り、DASH FullはCommvaultの重複排除機能を使って合成フルバックアップを行う機能です。ここでは典型的なバックアップ方式である週次のバックアップ、日次の増分バックアップを行う運用との比較により、DASH Fullを使用するとどのようにバックアップ運用が改善されるのかをご説明します。 

週次でフルバックアップ、日次での増分バックアップを行う運用の場合、どうしても週次でのフルバックアップが課題となります。フルバックアップは全データのバックアップを取得するため、バックアップ時間が長くなってしまいます。つまり、バックアップ対象のサーバーに対して負荷がかかる時間が長くなり、これは、サーバーの利用者に対する影響が大きくなるということを意味します。 

DASH Fullを使用すると、この週次でのフルバックアップによる影響を大幅に改善することが可能です。

DASH Fullは、データの移動を伴いません。DASH FullはCommvaultの重複排除機能を活用したバックアップを前提としていますが、重複排除を使用した場合、バックアップ対象のデータは、ファイルよりも細かいブロックの単位で一意なものであるかどうかを判別し、一意なブロックのみがバックアップ保存先のディスクに保存されます。Commvaultの重複排除機能は、これらの全てのブロックがディスク上のどこに保存されているかを把握しています。DASH Fullはフルバックアップとそれ以降の増分バックアップのデータを合成することで、最新のフルバックアップを生成するのですが、この生成に必要なブロックは既にバックアップ保存先のディスク上に存在しています。そのため、合成の処理はCommvaultのMediaAgent上で実行可能で、バックアップ対象サーバーからデータの移動は必要ありません。DASH Fullを使うことで、フルバックアップ時に発生するネットワークへの負荷を削減し、加えて、バックアップ対象サーバーへの負荷も抑えることが可能です。

また、DASH Fullは極めて短時間で実行できます。重複排除を使用したバックアップの場合、一意なブロックのみがバックアップ保存先に存在するため、DASH Fullでは、合成後のフルバックアップがどのブロックを使用するかを示す参照情報のみが作成され、ブロックの移動やコピーは行われません。具体的には、新しいインデックス (カタログ情報) を作成し、重複排除データベースの更新が行われています。ブロックの移動やコピーが行われないため、分単位の時間で実行可能となります。 

こうしてDASH Fullにより生成された合成フルバックアップは、バックアップのサイクルの中で通常のフルバックアップと同様に扱われます。そのため、DASH Fullを活用することでバックアップ管理者にとっては頭の痛い問題であるフルバックアップを初回のバックアップ実行時のみとし、以降は増分バックアップの取得と定期的なDASH Fullによる合成フルバックアップの生成でバックアップ運用を継続することが可能となるわけです。

(2) DASH Fullの実行方法と動作解説 

ここからは簡単な例でDASH Fullの実行方法と動作をご説明します。

DASH Fullを行う前に、まず、DASH Fullが有効になっているかを確認しておきます。
※重複排除機能を使用するストレージ ポリシーの場合、DASH Fullはデフォルトで有効になっていますので、通常はあえて確認する必要はありません。

DASH Fullが有効かどうかは、使用するストレージ ポリシーのプライマリ ストレージ ポリシー コピーのプロパティの中で確認できます。プライマリ ストレージ ポリシー コピーはストレージ ポリシー作成時に自動的に作成され、特に変更していなければ通常は、「1次」もしくは「Primary」という名称になっています。

使用するストレージ ポリシーのプライマリ ストレージ ポリシー コピーを右クリックし、[プロパティ]を選択します。

ストレージ ポリシー コピー プロパティのウィンドウが表示されますので、[重複排除]タブ以下にある[詳細]タブを選択します。重複排除オプションの枠内に、「DASH Full の有効化 (読み取りを最適化した合成フル) 」というチェックボックスがありますが、このチェックが入っていればDASH Fullが有効な状態となっています。

これでDASH Fullが有効な状態になっていることが確認できましたので、フルバックアップと増分バックアップを取得の後、実際にDASH Fullを実行してみます。

ここでは、次のような簡単な例 (下図参照) の場合に、DASH Fullでどのような合成フルバックアップが出来上がるかをご紹介します。

  • 最初、バックアップ対象として、File1、File2、File3、File4の4つが存在する状態でフルバックアップを実施
  • フルバックアップ完了後、新しいファイルであるFile5を追加
  • File5の追加後、1回目の増分バックアップを実施
  • 1回目の増分バックアップ完了後、File2を削除し、新しいファイルであるFile6を追加
  • File2の削除、File6の追加後、2回目の増分バックアップを実施
  • 2回目の増分バックアップ完了後、DASH Fullを実行

この場合、どのファイルがDASH Fullによる合成フルバックアップに含まれることになるでしょうか。 

この例の場合に、各バックアップに含まれるファイルを示したものが下図です。DASH Fullによる合成バックアップには、File1、File3、File4、File5、File6の5つのファイルが含まれることになります。

途中で削除されているFile2は合成フルバックアップには含まれません。Commvaultは増分バックアップ実行時にファイルが削除されたという履歴情報を取得しています。そのため、合成フルバックアップの材料となるフルバックアップには既に削除済みのFile2が含まれていても、このファイルが既に削除されていることをCommvaultが認識していますので、合成フルバックアップには含まれません。 

それでは、ここから実際に試して動作を確認してみます。ここではフォルダ”C:\Folder01”をバックアップ対象としたサブクライアント”C_Folder01”を使って試してみます。

最初に、このフォルダにFile1、File2、File3、File4を入れた状態でフルバックアップを実行します。

サブクライアント名を右クリックして[バックアップ]を選択し、バックアップ タイプで「フル」を選択して、[OK]をクリックしてフルバックアップを実行します。

※初回のバックアップであれば、[増分]を選択してバックアップを実行しても自動的にフルバックアップが実行されます。

ジョブコントローラで、フルバックアップの完了を確認します。

取得したバックアップに含まれる内容を確認する場合、サブクライアントを右クリックして、[バックアップ履歴]を選択し、その後表示されるバックアップ履歴フィルタのウィンドウで[OK]をクリックし、バックアップの履歴を表示させます。

 

その後、内容を確認したいバックアップの履歴を右クリックして、[バックアップ項目の表示]を選択します。

そうすると、フルバックアップなので当然ですが、File1、File2、File3、File4の4つすべてのファイルがバックアップされているのが確認できます。

 

次に、File5を追加して、1回目の増分バックアップを取得します。

サブクライアント名を右クリックして[バックアップ]を選択し、バックアップ タイプで「増分」を選択して、[OK]をクリックして増分バックアップを実行します。

ジョブ コントローラで、増分バックアップの完了を確認します。

先程のフルバックアップの時と同様の手順で、実行した増分バックアップジョブのバックアップ内容を確認すると ([バックアップ項目の表示]を実行) 、追加したFile5がバックアップされたことが確認できます。

今度は、File2を削除し、File6を追加してから2回目の増分バックアップを行います。

増分バックアップの実行手順、実行した増分バックアップジョブのバックアップ内容を確認する手順の説明は1回目の増分バックアップ実行時と同様のため省略しますが、[バックアップ項目の表示]を実行して、2回目の増分バックアップの内容を確認すると、File6が取得されているのが確認できます。

それでは準備が整いましたので、いよいよDASH Fullを実行してみます。サブクライアント名を右クリックして[バックアップ]を選択します。

表示されるサブクライアントのバックアップ オプションのウィンドウで、バックアップ タイプから[合成フル]を選択します。その下にある、「増分バックアップの実行」にチェックを入れると、合成フルバックアップを生成する前に増分バックアップを実行してから合成フルを実施する (「合成フル前」の選択肢を使用) 、あるいは、合成フルバックアップを生成した後に増分バックアップを実行する (「合成フル後」の選択肢を使用) ことも可能です。ここでは「増分バックアップの実行」にはチェックを入れずに合成フルを行うことにしますので、設定を変更せずに[OK]をクリックします。 

ジョブ コントローラで、合成フルバックアップの完了を確認します。

DASH Fullの場合も、フルバックアップや増分バックアップと同様に、どのファイルが中に含まれるのかをバックアップ履歴から[バックアップ項目の表示]を実行することで確認できます。

バックアップ項目の履歴の表示内容を確認すると、File1、File3、File4、File5、File6の5つ合成フルバックアップが含まれており、既に削除されているFile2は含まれていないことが確認できます。

今回はDASH Fullをテーマとして取り上げましたが、非常に簡単に実行できることがご理解いただけたのではないかと思います。ここではDASH Fullを手動で実行する手順でご説明していますが、普通のバックアップと同様にスケジュールを指定して実行することももちろん可能です。長時間かかるフルバックアップにお悩みのバックアップ管理者の方は是非DASH Fullをご活用ください。

 

※このブログ中で紹介している画面ショットには、一部ぼかしが入っておりますことをご了承ください。
※このブログでご紹介している手順および画面ショットは、Commvault v11 Service Pack 11の環境で確認したものです。 

【参考資料】

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Posted on 2018.10